-目次-
□ 概説
□ 色の名前と顔料
□ 顔料の個別説明
□ 概説
□ 色の名前と顔料
絵の具の名前の多くは顔料の名前に由来していますが、必ずしも一致するわけではありません。
ここでは自分の知る限りの範囲で実際使われている絵の具の名前と顔料の対比をしてみます。
| 絵の具の名前 | 使われている/関連する顔料 |
| コバルトブルー | コバルトブルー、フタロシアニンブルー+チタンホワイト+ウルトラマリン |
| セルリアンブルー | セルリアンブルー、フタロシアニンブルー+チタンホワイト |
| ウルトラマリン | ウルトラマリン |
| マンガニーズブルー | マンガンブルー |
| バヂターブルー | チタンホワイト+コバルトブルー |
| コンポーズブルー | フタロシアニンブルー+チタンホワイト |
| プルシアンブルー | プルシアンブルー |
| フタロシアニンブルー | フタロシアニンブルー |
| インジゴ | |
| ターコイズブルー | ターコイズブルー |
C.I.Name Pigment Blue 29
[説明]
ウルトラマリンも有名な色の名前ですが、多少赤みを帯びた青色をしています。
昔は天然石の瑠璃(ラピスラズリ)を砕いて作っていたため非常に高価でしたが、1828年フランスのGuimetにより人工的に合成する方法が発明され、現在では安く多量に合成されるようになっています。
とくに紫の強いものをウルトラマリンバイオレットと言うようですが、筆者は見たことがありません。そうでなくても赤みがあるウルトラマリンは使い方によっては紫のように使うことができまし、赤と混ぜてきれいな紫を作ることが出来ます。
[組成と製法]
天然のウルトラマリンはラピスラズリ(瑠璃)を砕いたものですが、現在はシリカ、アルミナ、ソーダ、硫黄から合成された合成品が使われています。
一応組成はNa2Al6Si6O24S4などですが一定していないようです。
組成の差によりウルトラマリンには色の濃いものと色の薄い物が存在します。
[油絵の具]
ウルトラマリンは暖色系の青で透明色という特徴があります。
絵の具の乾燥はかなり遅い部類に入ります。
硫黄を含んでいるのでシルバーホワイトとの混色は変色の可能性があります。
C.I.Name Pigment Blue 28
[説明]
コバルトブルーという色の名前はかなり知られた色ですがその名前はこの顔料からきています。コバルトブルーはきれいな青色で、もっとも青らしい青です。青色といえばだいたい普通の人はこのコバルトブルーを連想することでしょう。
コバルトブルーは1802年テナールが初めて合成し、1800年代中頃には広まっていたようです。
コバルトブルーには青の強い物と、やや色の淡い物(ペール)が存在します。
[組成と製法]
主成分はアルミン酸コバルトCoO・nAl2O3です。コバルトが多いほど青が強くなり、アルミニウムの割合が多いと淡い色の顔料になります。
水酸化アルミウムとリン酸コバルトを1200度C位の高温で焼いて製造されます。
[油絵の具]
コバルトブルーの本物はやや値段が高いです。でもたいていはTINTが売られていてこちらは価格がかなり安くなっています。TINTは普通フタロシアニンブルーなどを混合して作られています。本物の方が透明度がわずかに高いようですが、あまり気になるほどではありません。でも一度本物を使い始めると戻れなくなるかもしれない。
青色の定番として多くの人が使っていると思われます。
C.I.Name Pigment Blue 35
[説明]
多少緑みを帯びた、色の淡い青色の顔料です。
[組成と製法]
主成分は錫酸コバルトCoO・nSnO2です。
コバルト塩と酸化錫及びケイ酸を高温に熱して製造されています。
[油絵の具]
着色力ではコバルトブルーに劣りますが、きれいな使いやすい色です。不透明ですが、着色力が弱いためそれほど気にすることなく使えるでしょう。
多少高価なために、安価なTINTも作られています。偽物ではありますが、TINTの方が着色力が強くなっているため使いやすいかもしれません。
C.I.Name Pigment Blue 27
[説明]
プルシアンブルーは多少緑身がかかったやや暗い青で、大変色が強いためにプルシアンブルーはかなり黒っぽく見えます。
プルシアン[Prussian]ブルーという名前は昔のドイツの旧名プロシア[Prussia]に由来しています。これはドイツで発明されたためです。
プルシアンブルーはとても色が強いので、ほかの色と混ぜるとプルシアンブルーが勝ってしまいます。
[組成と製法]
プルシアンブルーの反応は有名なので高校の化学の教科書にも載っています。
[油絵の具]
大変乾燥速度の早い油絵の具で、油絵の具の中でもトップクラスです。プルシアンブルーは(狼色と呼ばれる)大変強い色なので他の色と混ぜるときは要注意です。
プルシアンブルーは寒色系の青でしかも色が強いため、あまり多く用いると絵全体が暗く、寒い印象になります。
C.I.Name Pigment Blue 36
[説明]
ターコイズブルーはトルコのブルーという意味ですが、決してトルコ石を砕いて使っているわけではありません。(もしトルコ石を砕いているのならとんでもない値段がすることでしょう!)
ターコイズブルーは緑みを帯びた明るい青です。
[組成と製法]
ターコイズブルーはコバルトを含んでいます。
[油絵の具]
ターコイズブルーとう名前でも、ターコイズブルーを使っていないこともあります。
色としては使いやすい色です。
C.I.Name Pigment Blue 33
[説明]
マンガニーズすなわちマンガンのブルーです。
毒性があるため注意が必要です。手で直接触れないようにして、扱った後は手を洗うようにしましょう。
マンガンブルーは隠蔽力はあまりよくありません。
[組成]
マンガニーズブルーの組成はマンガン酸バリウムと硫酸バリウムBaMnO4BaSO4です。
[油絵の具]
マンガニーズブルーは色が弱くてちょっと使いにくい絵の具です。毒性もありあまりおすすめできる絵の具ではないかもしれません。
■■ フタロシアニンブルー [phthalocyanine blue]
C.I.Name Pigment Blue 15
[説明]
非常に優秀な有機顔料です。構造を見れば分かるようにフタロシアニングリーンの兄弟のような顔料です。大変よく使われている顔料なので知らないうちに使っていることが多いかも知れません。ペンキの青にはたいがいこの顔料が使われています。
色が強く、青からやや緑みを帯びているものがあります。最も青いものでも若干の緑みを帯びているようです。
[構造]
フタロシアニンブルーの構造は次のようになっています。

このフタロシアニンブルーの一部に塩素が置換したものがフタロシアニングリーンです。
[油絵の具]
フタロシアニンブルーの名前ではあまり商品化されていないようですが、多くのメーカーでこのフタロシアニンを使った絵の具を作っています。単独で使われるだけでなく適当な顔料と混ぜ合わせたりして使われることも多いようです。
乾燥はやや遅い部類に入りますが、緑みを持つものがあることを除けば使いやすい顔料でしょう。