溶剤


溶剤の効果

溶剤は絵の具を流動化させる成分です。溶媒と同じような意味ですが普通水は溶剤には含まれず、主に有機溶媒のことを溶剤と呼びます。
溶剤はふつうすみやかに蒸発して乾燥した後の絵には何も残りません。 油絵の場合溶剤を混ぜると、「きれが良くなる」「薄く広がるようになる」「にじみやすくなる」等の効果が期待できます。
溶剤類はもグレーズ技法やにじみなどの技法には必須であり、その活用は技法の幅を広げることになります。
ただし注意点として、溶剤の多い絵の具は上に塗り重ねる時に下層の絵の具を溶かしてしまう作用があること、蒸発して消えてしまうので塗膜が弱くなることがあります。また水以外の溶媒はできるだけ換気の良いところで扱う必要があります。


引火性

引火とは直接火を付けなくても、その蒸気に火がついてしまう現象で、有機溶媒ではよく起こります。
溶剤に使われる有機溶媒のほとんどが引火性で、火の近くで使うと危険です。
大きな容器に少量の溶剤が入っているとき、その空いた部分には溶剤の蒸気が充満しているので危険性があります。
一般的に危険性をおさえるには小さな容器の方が有利です。
火がついたことのことを考えると燃えやすいプスティック容器に溶剤を入れるのは考えものです。
もし溶剤を入れた容器に引火してしまったときは慌てずに、まわりにある可燃物に火が広がらないようにする必要があります。燃え広がらなければ危険はありません。燃えない物でふたをしてしまうというのが比較的有効な消化方法です。水をかけて火を消すのはこの場合不適当です。


水はもっともありふれた溶剤なのですが、特別ということでここで説明せずに別の場所で記述したいと思います。

テレビン

テレビンという呼び方はフランス語で、英語読みすればターペンタインになります。
松脂から蒸留して分離される揮発性の油で独特のにおいがします。
このテレビン油の主成分はαピネンで、強力な溶解力を持っています。
テレビン油は揮発性が高いのでテレビン油を混ぜた絵の具は描いたそばから乾いていくような感じがします。
テレビン油は溶解力が強いので半乾きの下塗りを溶かしてしまうことがあるので注意が必要です。
溶剤を多用するときは、溶剤だけだと、画面が弱くなることに留意しておくべきでしょう。


□ ペトロール

石油系溶剤です。将来石油ショックが起こったら値上がりするに違いありません!?が、今のところお安くなっています。
溶解力はテレビンに劣り、また蒸発速度がテレビンより遅くなります。
においを押さえた無臭ペトロールもあるが、これは溶解力が低く、その点であまりお勧めできません。


リムーバー (剥離剤)

可溶性の樹脂や生乾き程度の油はテレビン油などの溶剤で溶かして落とせますが、一度固まってしまった油はそう簡単には落とせません。もちろん固まった油をナイフやヤスリでごしごしと削ってやってもよいのですが、リムーバー(剥離(はくり)剤)という強力な助っ人もいます。
パレット上に絵の具を放置してしまい、絵の具が固まってしまったときにパレットから絵の具を落とすのに使っている人も多いことでしょう。
また、筆は完全に洗ったようでも若干の油が残ってしまうので、長い間使っていると残った油が固まってきます。そんな固まった油でも溶かしてしまうのでリフレッシュに重宝します。でも筆をいためるので多用は禁物です。
このリムーバーは強力な溶剤で、固まってしまった油絵の具でも溶かすことができます。固まった絵の具にリムーバーを塗ってしばらくおいておくと絵の具が浮いてくるので、その浮き上がった垢状の絵の具をナイフで削り取ってやれば簡単に固まった油絵の具を取り除くことが出来ます。ただしこれも強力な溶媒のようなものなので油絵の具の乾燥が進むほどリムーバーを使っても取り除くのが困難になります。
アクリル絵の具にもリムーバーがあり、速乾性のアクリル絵の具を扱うときに便利です。
いずれにせよ剥離剤の成分は毒性の強い成分が使われているので使用時はとくに換気が必要です(においがひどいのでそうせざるを得ないでしょうが)。ほんとうは使わないのが最善の方法です。


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