□ 展色剤
展色剤は顔料をのぞいた絵の具の成分を指す言葉です。ビヒクル[Vehicle]という語も展色剤の意味で使われますが、絵具学では混同しないように展色剤(メディウム[Medium])の語を用いて説明します。
その主な役割は顔料を絵の具として扱いやすくすることと、乾燥して塗膜を作り顔料を基底材料の上に固定・定着させることです。
アクリル絵の具、油絵の具、水彩絵の具といいた絵の具の種別は展色剤の違いによります。
展色剤の成分として専門的には塗膜形成主要素(ビヒクル)もしくは塗膜形成剤、塗膜形成副要素、塗膜形成助要素(助剤)というものを考えますが、専門的にすぎてわかりにくいので展色剤を塗膜形成剤(ビヒクル)、乾燥剤や界面活性剤、溶剤といったふうな成分からなると考えた方がわかりやすくてよいでしょう。
もっともこのように分類しても何も良いことはありませんし、油絵の具における樹脂類のように分類に迷うものもあります。考えれば考えるほどこの分類は無意味です。展色剤として一緒くたにする方が現実的です。でも整理のためにいちおう分類しておきます。
| 展色剤 | 絵の具 |
|---|---|
| アクリルエマルジョン | アクリル絵の具 |
| 乾性油 | 油絵の具 |
| アラビアガム | 水彩絵の具 |
| 卵(卵黄) | テンペラ絵の具 |
| トラガカントガム | パステル |
| 膠 | 日本画用絵の具 |
| 膠 | 墨 |
塗膜形成主要素は塗料の専門用語でビヒクル(Vehicle)とも呼ばれます。ビヒクルは展色剤の意味でも使われるのでややこしくなっていますが、塗膜を作る成分ですから塗料の主成分です。
塗膜形成副要素は乾燥剤や界面活性剤などビヒクルを補う成分です。
油絵の具に加えられる乾燥促進剤(シッカチフ)が前者の例、テンペラ絵の具におけるレシチンの作用が後者の代表的な例です。
一般に溶剤と呼ばれています。展色剤に流動性を与えるために加えられます。水彩(アクリル・テンペラ)絵の具なら水が、油絵の具ではテレビン油やペトロールがこれにあたります。
絵の具に「きれ」や「のび」をあたえるためには溶剤を追加してやります。特に考えなくても普通に使っているはずです。加えすぎるとにじみなどの作用が強くなります。